マプチェ族の子孫はチリとアルゼンチンに跨る地域に多く居住し、ラ・アラウカニア州の住民のうち80%を占め、ロス・ラゴス州、ビオビオ州およびマウレ州でも人口比率が高い。伝統を継承し農業を中心とした生活を続けている者もいるが、大多数がより良い収入を求めて都市部へ移り棲みつつある。しかしながら、彼らはさまざまな差別の対象にあり、経済面や公的な面で不遇な状態にある[5]。
そして、マプチェ族の反抗は今も続いている。近年では彼らの先住する土地を開発する林業系大企業[6]にも向けられ、地権争いなどに端を発した暴力の応報が続き、特にラ・アラウカニア州北部のTraiguén区やルマコ区に挟まれた歴史的に激しい紛争が続いた地区で頻発している。そのため、彼ら反抗組織のリーダーやマプチェの政治活動には、近年になってもピノチェト政権時の対テロリズム法が取り締まりや起訴に適用されている。その法律では検察は6ヶ月間証拠の提出を拒むことができ、また裁判において喚問した証人をスクリーンの向こうから証言させて匿名のままにすることが可能になる。
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チリ人が「Araucanía」、マプチェ族が「Ngulu Mapu」と呼ぶチリ人の林業会社が所有するふたつの地域の森林資源に対して日本とスイスが利権確保に動いた際、マプチェ族はこれらラジアータマツ(モントレーマツ)やユーカリなどの森林は本来彼らが植樹し大量の水と肥料を与えて育てたもので、資源の権利は彼らに帰すと主張した。また、チリから年間約6億ドルにのぼる木材を輸入するアメリカでは、そのほとんどが南部地域で伐採されていることから、熱帯保護キャンペーン団体Forest Ethicsが先導し、 ホームデポなど主要な輸入業者から「チリの原生林を保護する」木材の購買方針へ変更する同意を取り付けるなどの動きもある。しかし、マプチェ族首長の中にはこれでも不充分との声があり、一部の団体はUNPOに参加して国際的な関心や所有地の権利や文化の保護を訴える活動を行っている。これらを受け、チリ政府もマプチェ族を受益者とし資源開発と彼らの生活水準向上を両立させることを目的とした「先住民コミュニティ管理プロジェクト」を2003年から実施している[7]。
近年、チリ政府はマプチェ族の待遇を改善するいくつかの施策を試しつつある。例えば、テムコ市では小学校にマプチェ語や文化の授業を加える試みが行なわれている。また、政府の特務機関である委員会(the Commission for Historical Truth and New Treatment)は2003年にレポートを提出し、80%以上がマプチェ族によって占められる先住民族について彼らへの政策を大胆に改善すべきとの見解を纏めた。その中では、文化的アイデンティティの促進以外にも、政治そして「領土」に関する権利についても公的にこれを認めるべきとの内容を含んでいる。